仙台平野の歴史津波　巨大津波が仙台平野を襲う！

¥940

(税込) 送料込み

商品の説明

東日本大震災からさかのぼること１６年前の1995年に本著は書かれ、今回の大地震・大津波を予言するとともに、防災対策の必要性について説かれています。初版は絶版のため、著者の依頼により震災後に復刻したものです。巻末に「復刻版出版にあたって」として、津波被害を予見した自身の思いが3ページ加筆されています。

本書により仙台地方を襲った歴史上の巨大津波に周期性があるとの結論に至る著者の調査と思索（分析）の経緯が読み取れる。世に「警告本」と呼ばれているとおり、冒頭に平成６年９月に著者らが行った仙台市長と宮城県知事への津波防災対策に関する陳情書が掲げられ、異色のスタイルとなっている。この陳情書には「今、津波防災対策はどうして急がなければならないか」と題する論説が付されており、ここを読むと著者が在野の歴史研究家として行った過去の巨大津波の調査から何が分り、なぜ津波対策の緊急性を訴えるのかが明確に主張され、これが本書の「まえがき」ともなっている。

　著者は、貞観11(869)年、慶長16(1611)年、寛政5(1793)年、明治29(1896)年、昭和8(1933)年などの巨大地震・津波（はじめの３者が仙台平野を、あとの２者は三陸・南三陸を襲ったもの）を分析し、これらの津波の発生には周期性があると確信するに至った経緯を述べている。

その分析は、自然科学的には、発表された地震・津波研究者の報告から、貞観地震と慶長地震の類似性や震央の分析による宮城県沖の地震空白域の存在に注意を向け、ここでは貞観地震クラスの巨大地震と津波がいつおきても不思議ではないとしている。〔貞観地震の震央は東経143〜145度・北緯37.5〜39.5度とされており、今年3月11日の地震はほぼ同じ場所で起きた。〕その確信は、７世紀後半から近世までの仙台地方の歴史資料にみられる被災の記述および伝承や神社の存在などを専門性を生かして丹念に調べることによって強固になってゆく。〔著者には「知られざる中世の仙台地方」(1986)の著書がある。〕興味深いのは伝承や津波襲来後の農地の復興の歴史を辿ることから過去の巨大津波が内陸のどこまで侵入したかを推定している箇所である。